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靴紐が。

Dsc_1536

 「歌壇」2月号の、染野太朗作品30首を読む。

 期待の作家 Close up 欄。

 ちょっとアブナイ方向に行っているようで心配する。

 リズム的には、硬質の芯がいい。

 だが、語彙的に露悪的な印象。

 悪や毒を吐露する意図があるのか。読んでいて辛い。うれしくない。たのしくない。

 蝶の翅を引きぬくとか、蛙がベランダにつぶれているとか、風が死ぬとか、顔の醜さとか、内臓のかけらのような怒りとか、君を殴りつづけるとか。

 そういう暗闇を見つめる視線じゃなくて(まあ暗闇はだれにもあるのだけれどわざわざ短歌にしないで)、以下のような歌が(作者は物足りないと思うのかもしれないが)いい。単純にいい。

・さびしさに濃淡がありぎんなんのにおいの中を蕎麦屋まで行く

・ゆうやけを右目に見つつ靴をぬぐ 靴紐が知らぬままに濡れている

(やや、吉川宏志風かもしれない。)

・水差しに水がそそがれ水差しの水がそそがる 旧いかなしみ

(旧いかなしみ、がわかりづらいかな。)

 どうでしょうか、染野さん。顔を上げてみませんか?

 写真は、池袋東武百貨店内〈華湘〉にて。

 ランチの一皿。単純な炒め物にこそ店の味が出る。

 素材のよさ、手さばきのよさを感じる上品な一皿だった。

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