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『悲しい滝』。

Photo  狩野一男さんの『悲しい滝』(本阿弥書店)。

 大病からの回復過程のあれこれ、ふるさと宮城県栗原市の地震、それとは別に東日本大震災。

 苦しくて辛いはずの生活の中で、いつも喜怒哀楽を率直に表しながら明るく笑い飛ばしてゆく狩野さん。

 その人間そのものを、持ち前のユーモアのセンスと、ふと笑わされたあとの寂しさとともに見せてくれる。

 それは、短歌的言語感覚の鋭さを少し押し隠し、読者サービスを楽しもうとする姿勢から得られるものだろう。

 復活後、2冊目の歌集出版を大いにお祝いしたいです。

・クモ膜下出血奇跡的生還者のゆゑか、甲高きこゑになりたり

・左眼左方盲目(さがんさはうまうもく)の視野占めて咲くさくらを見れば数多嬉しも

・微量から死力尽くして少量へ微増させ得つ飲む酒の量

・手術痕まざまざとしてでこぼこの我が禿頭は光つたりせぬ

・東北のふるさと恋ふるをりふしも水頭症を恐れてわれは

など、お身体に関わる歌がひとつのテーマ。狩野さんにしか作れない秀作だと思う。(けっして禿作ではありません。)

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