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柚子風呂。

Dsc_1012

 「コスモス」の仲間の読書会。

 『鈴を産むひばり』(光森裕樹)を再読。

 初読から2年以上たってあらためて詩的水準の高さに驚く。

 ただ、手放し文句なしで、挙げられる歌が案外少ない。

 それよりも、断片的な詩句の輝きやキレの良さ、あるいは読み進めるときの印象や気分に感応する歌集と言えるかもしれない。

 仔細に読むと、リアリティーに欠けると思える部分もあって、話が盛り上がった。

 例えば、

・柚子風呂の四辺をさやかにいろどりて湯は溢るれど柚子はあふれず

という歌。

 柚子が風呂の四辺を彩るためには、何個の柚子が浮かんでいることになるのか。最低でも一辺に3~5個くらい必要だろうか。

 自宅でそんなことをするのは想像しにくいから、これは温泉宿のお風呂かもしれない。作者の位置はどの辺なのだろうか。

 などという、たわいもない推測憶測が楽しい。

・ポケットに電球を入れ街をゆく寸分違はぬものを買ふため

という歌にも不思議な気持ちを抱いた。

 電球は工業製品としては「寸分違はぬ」たてまえだけれど、ガラスの厚みや金属の部分がひとつひとつ違うような気がする。(違ってほしいという願望もある。)手作り感の残る製品だと私は認識していた。

 それを「寸分違はぬもの」と言い切るのはやや乱暴ではないかと思った。

 作品がこういう話に耐えうるだけのおもしろさを持っているということなのだ。 

 もちろん、いい歌集だという評価は変わらない。

 写真は、〈セブンイレブン〉のカツ丼。十分にうまい。冷たくても。

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