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『キオスクのキリオ』。

Photo  東直子さんの『キオスクのキリオ』(筑摩書房)。

 10篇の短編小説集。

 東さんの小説によく出てくる、ちょっと不思議で魂が剥き出しになっているような人物がつぎつぎに登場する。

 関西弁(大阪弁?)で語るキリオさんのセリフは、なんというか、薬師寺のお坊さんの口調のように勝手に思ってしまった。

 つまり、文体に癒されるという感覚かもしれない。

 駅は、阪急か阪神の住宅街用の駅のような感じかな。

 どれもいいけれど、「調合人」のドキリとするところとか、「ミルキー」のちょっとだけ異次元に足を踏み込む描写とか、「夕暮れ団子」のとりとめのない感じとか、が特によかった。

 「シャボン」のなかに、

お姫さまの結末は、結婚してしあわせになりました、か、泡になったり月に帰ったりして、その場からぽっかり消えてしまうかのどっちかやな。ずっと、おんなじ場所におって、ずっとなんとなくしあわせ、っていうのは、ゆるされへんねん。

というところに、なぜか、ぐっと来たりした。

 「空の中」の、

しかし、二十年なんて、あっという間やな。あっという間に過ぎてしまう一年が、二十回あるだけなんやな。

という部分にも、はっとしたりした。

 たくさんの人に読まれて欲しい本です。ありがとうございました。

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コメント

「とりつくしま」がものすごく良くて私も母も夢中になったので、これも楽しみです。探してみます。文体のリズムがいいのは歌人でもあるからなんでしょうね。

投稿: morijiri | 2012年10月15日 (月) 12時13分

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