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『浮遊生物』。

Photo_2 渡辺泰徳さんの『浮遊生物』(青磁社)。

 大学で長く生態学を研究されてきた方。

 国内外の湖や川など(陸水というらしい)でフィールドワークをされてこられたという。

 浮遊生物に「プランクトン」とルビを振った歌もあることからも御専門がわかる。

 そして、還暦を超えて(退職前に←ここが重要なのだが)、歌を始め、4年ほどで歌集を出版された。

 そういう男性の歌は、人間としての芯がはっきりしていて、物の見方にも深みがある。

 この歌集も行動する大人の歌集という印象である。

・ゴムボートに空気をつめるもどかしさ長沖(ながおき)中沼(なかぬま)稲の穂揺れる

・換気扇回せば壁のががんぼの翅のはつかに揺れる夕暮れ

・分岐して八千万年隔つとも犬と人間(ひと)との脳共感す

・資源とは奪い合うものみずうみは水資源なり機銃座おかれて

・ツンドラと川面を染める夕焼けは二時間ほどで朝焼けになる

・筑紫野にどこかで見た丘広がれり ああそうだったデスクトップの

 深く広い経験と知識があり、それらが凝縮された断片を読む楽しみがある。

 歌集一冊で、その人のエッセンスを知れてしまうのも、短歌に関わる楽しさの一つ。

 いい歌集といい方に出会った。

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コメント

歌集を紹介してくださり誠にありがとうございました。エッセンスが抜けて干からびないよう気をつけて日を送って参ります。

投稿: 渡辺泰徳 | 2012年9月21日 (金) 18時17分

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