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『北二十二条西七丁目』。

Photo_2 田村元『北二十二条西七丁目』(本阿弥書店)。  

 「短歌研究」の時評(3回目)の中心に取り上げるために、このブログでは引用を我慢してきた。

 ようやく、その号が出たので、挙げなかった秀歌を書き留めておく。

 言いたいことは「短歌研究」10月号に書いた通りです。

・街路樹に夜明けをさがすふりをしてガラスに映るきみを見てをり

・ひとり来てみてばカモメが鳴いてをり君が碧いと言つてゐた海

・くれないゐのキリンラガーよわが内の驟雨を希釈していつてくれ

・この街にもつと横断歩道あれ此岸に満つるかなしみのため

・ふりがなをわが名に振りてゆくときに遠くやさしく雁帰るなり

など、前半にはロマンチックぎこちなさを感じる歌があってよかった。

 吉川宏志さんは「普遍的な〈詩〉に言葉を押し上げようとする意識は、かなり薄いような気がします。」と言ったそうだ。

 が、この4首を見る限り、そんなことはない。

 歌集後半に向けて(つまり作者が年齢を重ねるにつれて)、徐々に作者の人物が濃ゆく出る感じがあるのもいい。

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コメント

「短歌研究」の時評に加え、こちらでもご紹介くださいまして誠にありがとうございます。ありがたくて、ありがたくて、これからは屋号を有難屋(ありがたや)にしようと思っております。

投稿: たむら。 | 2012年9月23日 (日) 17時20分

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