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『草ばうばう』。

Photo  岡崎康行さん『草ばうばう』(角川書店)。

 草ボウボウと音読する。まさか、バウバウではない。

 生真面目な歌が多いけれど、その一方でどこか自分をカリカチュアライズしたような、すっとぼけたような諧謔精神を感じさせるのが、岡崎さんの好きなところ。

 小さな穴から大きな世界を覗くようなところもいい。

 大きな力に動かされたのちの、小さなものの姿をいとおしむような歌もいい。

・盥ひとつ庭に忘れてゐたるもの雪の小さな起伏となりぬ

・夜の電車とほくレールを噛む音のからだのなかに湧くごとき音

・われの名が呼ばれてゆつくり立ちあがる名にわたくしを当て嵌むるべく

・生くるとは洗ふことならむどの家もひとすぢの水を通過させをり

・持ち上げしポットにぐらり水揺れて揺れ返りたりわれの手は知る

などに、特長が見られると思う。

 短歌という形式の、ある意味でのつぶやきの強さを具現しているような歌、この積み重ねが生きているということなのだと思う。

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