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だめな人間。

Ca3g2713  岡井隆さんの『わが告白』つづき。

 (「岡井隆」と呼び捨ての方が敬意がこもるかもしれない。)

 医業と歌人・文筆業のいわゆる二足のワラジがいかに、その初動の段階から困難であったかも、告白のひとつ。

 北里研究所病院で上司から叱責された話が繰り返し出てくる。

だめな人間だったわたしは、それでも歌のおかげで、なんとか生きて来られたのである。歌にかかわったことを、感謝するのが本当なのである。

という部分は、岡井さん一流の韜晦ではあろうけれど、わづかに本音が含まれているかもしれない。まっこと、共感する。

 最終章では、原発問題に触れ、

原子力という人類がやっと手に入れた最高の宝を魔女裁判にかけてはいけない。

と言い、

一方で十米の防潮堤をつくり、避難訓練をかさねたはてに、何万という死者・行方不明者を出した三陸海岸の惨事を天災とよぶのなら、福島原発も防災のために予想した以上の自然災害をうけたのであって、人間の出来ることは、自然の大きさにくらべて、いかに小さいかを示しているにすぎない。

大津波のために防潮堤を作った人たちの予想力を止むをえなかったと同情し努力をを尊いと思うと同時に、原発に対しても、その防災力をこえた自然の力が及んだことに対し、理解と同情をわたしなどは感ずる。

とも冷静に書いてある。

 なにが正しいか(マスコミのいうことは信じられないとすると)わからない状況のなかで、こう直言する人がいることは、自分の小さな判断力を試されているような感じがする。

 たいへんにおもしろい一冊であった。

 写真は、新大久保〈ハンヤン〉にて。

 宴会のときの、タットリタン(鶏の鍋)。

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